2009年8月29日(土)〜30日(日)ランニング夏合宿〜ヒトナツの激走
 
※今回のコースはこちら。(左:8/29、右:8/30)

先週はしゅんすけ的ヒトナツの思ひ出ってことで、自宅から鎌倉までの往復30キロを走り切ったんだけど、今週はランニング仲間で箱根に合宿に行くことになっていて、先週の挑戦を遙かに凌駕するランニング練習をすることが決まっていた。ランニングのポテンシャルでいうと、断然ぶっち切りで劣っているしゅんすけがこの合宿に参加なんかして大丈夫なのだろうかという不安は尽きない。何故なら今回の合宿では、箱根湯本から芦ノ湖までの15キロを往復し、その翌日には芦ノ湖1周しようという計画があって、先週初めて30キロデビューを果たしたしゅんすけが湯本から芦ノ湖までのいわゆる「箱根駅伝5区」の激坂を上れる可能性はほとんど低かったからである。まさに地獄の特訓である。
ま、道中はバスが結構な頻度で走っているそうだから、ダメだったらリタイアして芦ノ湖までワープするって手もあるし・・・ということで当日を迎えた。

この日は絶好の快晴。ホント暑い日になりそうだった。
箱根湯本に集まったメンバーはそれぞれランニングの準備をする。ランニング練習だからイベントのように号砲がなるわけではなく、唐突にランニングがスタートするわけで、しゅんすけも不安はそのままに芦ノ湖へ向けた最初のランニングステップを踏み出した。国道1号線を一路芦ノ湖を目指す。
それにしても箱根までの道のりは、毎年箱根駅伝で見ているし自分のクルマで走ったことも自転車で走ったこともあるんだけど、自分の足で走る箱根の道のりの風景はなんか感動するな。周りを見ているとああ箱根駅伝と同じ道を走ってるんだなーって気がするのだ。しかし湯本を発ってほどなく現われる函嶺洞門や沿道の旅館などを見ながら思いに浸っているとだんだん坂の傾斜がキツくなってきた。沿道の旅館や店がなくなり、本格的に箱根の山上りが始まる。


※山上りはキツいわ−。

すぐに息が切れ始めた。陽差しが容赦無く照りつけて、どどどっと汗が噴き出す。最初の2、3キロはいつもそうだけどしゅんすけは物凄く汗をかく。いつもならしばらくして汗が落ち着き、身体が完全にランニングモードにシフトするわけだけど、この日はとにかく汗が止まらない。汗と一緒に塩分やら何やらが流れ出て、日射病とか熱射病になっちゃうので、水分をこまめに補給する。今回は走り切ることが目的でタイムは一切関係ないので、とにかくこの延々と続く坂に向き合う気持ちで走り続ける。坂が続いた後に旅館が集まってる辺りではちょっと平坦になってたりして、こういう場所では速度があがったりするから、しゅんすけにもまだ体力的には余裕があるんだろう。
何度かの休憩を経て、ちょうど中間地点。ここにコンビニがあって、仲間が休憩していた。水分を補給したりアイスを食べて身体を冷やしたりしてたら、見慣れた顔のランナーが通り過ぎた。今回の合宿には参加しなかったんだけど、同じランニング仲間でこの日は自主的に友人たちと箱根路を走るんだそうな。この人はこの前のヤビツ峠サイクリングで坂道を下ってる時に事故に遭って、左腕の骨を3カ所も骨折したにもかかわらずこの日はほとんど復活していて、急な坂道をがしがし上っていった。いやスゴい人もいるもんだ。
ゆるゆるモードで箱根路に挑むしゅんすけも、休憩を終えて腰をあげる。中間地点と言っても8キロそこそこであり、復路も考えればまだ4分の1である。気合いを入れ直して走り出す。

 
※(左)登山鉄道の踏切にて。(右)少し下ってさらに上る。

しゅんすけが自転車で箱根路に挑んだのは去年の年末、8ヶ月前くらいのことである。この時は湯本でフィニッシュするさきこを迎えに来ただけだったので、とても寒かったこともあって、芦ノ湖まで行かず途中で引き返して帰ってきたんだけど、この引き返し地点が「国道1号最高地点874m」だった。東京から京都まで500キロ以上に及ぶ長い国道1号線にあって、どの地点よりも高い位置にあるのがこの箱根の最高地点なわけで、ちょうど切りが良かったからそのまま芦ノ湖まで行かないで引き返したんだけど、その「国道1号最高地点」がだんだん近づいてきた。
長い坂道を一旦下り再び上り切ると、そこが「国道1号線最高地点」である。なんか懐かしい感じのするこの看板が真夏の陽差しを受けているのを見てちょっと感動がこみ上げる。おおーついにここまで来たよ。

 
※「国道1号線最高地点」の看板の前で。

こうしてここまで来たらあとは芦ノ湖までは下るのみである。割と急になってる傾斜を駆け下りると、気持ちが楽になって、楽しい気分になった。坂道を走ってるとは言え、冗談を言える程度まで疲労が回復したのが驚きである。
坂を駆け下りる目の前に湖面のきらめきが見えた。芦ノ湖である。
ついに芦ノ湖まで来た。ツバサよ、あれが・・・ってのがこういう時のしゅんすけ的慣用句なんだけど、今回ばかりはこのセリフが出なかった。なぜならしゅんすけをこの芦ノ湖に運んできたのはツバサではなくしゅんすけ自身なのである。自分の足だけで湯本からここまで上って、ついに芦ノ湖に到着したのである。苦しいけど静かな感動に溢れていた。


※ついに芦ノ湖に到達!スゴい!!

芦ノ湖に到着した。いやもう暑くて、このまま走って芦ノ湖に突っ込みたい衝動だったくらい。
それにしてもスゴいことである。タイム的には比較にはならないけど、あの箱根駅伝と同じ道を走り切ることができた。走ってきて芦ノ湖畔に立つことがあるなんて以前は全然考えてもみなかったな。

しゅんすけ以外のランナーは既に芦ノ湖まで来ていて、しゅんすけの到着を待って食事をした。がっつりカツ丼なぞ食べて食休み、そして今度は復路に向けて準備を調えた。
復路はまず芦ノ湖から坂を上らないといけない。往路で延々坂を上ってきたしゅんすけにとって、ふたたび坂を上り続けないといけないのが精神的に結構キツくて、途中で何度か休憩を入れて走り続けた。午後になり太陽を遮るものもなくどんどん気温が上がっていき、疲労と息切れで喘ぐように足を進めた。伴走してくれたさきこが声をかけてくれたりして、ここはホント気持ち的に助かったな。
「国道1号線最高地点」を再び通過してその先のちょっとした坂を上ると、そこからは下り坂オンリー。ただただ下っていくのみ。自然とスピードが上がっていく。上り坂であれほど疲弊していたのに、坂を下り続ける体力が残ってたのは驚きである。下り坂が意外にも楽だったので、息を切らせることもなく、さきこと話しをしながら走り続け、気がつくと中間地点のコンビニである。いや、これは早い。
下ってみて気がついたのは、坂の傾斜が意外にも急だったこと。こんな坂道を駆け上ってきたなんて信じられないほどの急傾斜。この坂を上ってきたことにも驚きがあった。さすがに途中で休憩を何度か挟んだりしたけど、総じて楽な展開で下り坂を下り、そして左手の渓谷に清流の流れが見え始め、函嶺洞門をくぐると感慨がにじみ出てきた。ついに戻ってきた。30キロの道のりを走り切って、ついに箱根湯本に戻ってきた。おおー、ちゃんと戻ってこられたよ!

 
※(左)斜度10%?!スゲー坂を上ってきたんだ?!(右)さすがに疲れた・・・。

いや我ながらスゴいわ。箱根駅伝の難関を走って戻ってこられた。疲れたけど疲れ切った感じではなく、その後温泉に入って身体を癒し、湯葉丼なぞ食べたらまた元気になってきた。この前の30キロ走もそうだけど、こうして練習を重ねていくとそれが自分の力になっていることが感じられて嬉しいものである。某テレビ局の24時間テレビでの企画で24時間マラソンってのがあるけど、そこでコメディアンの萩本欽一氏が「走った後、その向こうに何があるか?」と聞かれて「自分で自分に驚ける」って答えてた。しゅんすけが走ったのはまだまだ低レベルだけど、箱根湯本を発って芦ノ湖を折り返してまたこうして戻って来られたしゅんすけは正直「自分で自分に驚いて」いた。これがさきこたちをランニングに惹き付けて放さない理由なのかもしれない。今回の過酷な練習が、走った先に見える「何か」をしゅんすけに垣間見せていた。

この日は仲間と乾杯して、この日丁度放送していた24時間テレビを鑑賞し、時折流れるランナーの様子をチェックしつつ(24時間でフルマラソン3本分の126キロを走破するんだそうな)、早くに就寝となった。翌日もランニング練習があったけど、果たしてどうなるか・・・。

翌日の天気は前日と違って曇っていた。時折青空が覗くものの、陽差しはほとんど差し込まない空模様。もしかすると雨が降るかもしれない中、芦ノ湖1周を目指してホテルを出た。
この日は芦ノ湖の湖尻・桃源台から元箱根・箱根町を経て、芦ノ湖の西側を走って戻ってくるという21キロのコースで、この芦ノ湖西側というのが10キロのオフロード。さきこは以前某ランニングクラブで芦ノ湖1周を走ったことがあるんだけど、しゅんすけはまったくの初めてで、湖尻から箱根町まで10キロ走ってその後に10キロものオフロードを走るってのはさすがに無謀なので、箱根町まで行ければ御の字だろうってことにした。いや、前日に30キロ走っておいて翌日に10キロ走ることができること自体、今までのしゅんすけにとっては驚きな成長ぶりである。

準備をしてからまたも唐突にスタート。
走り出すといきなり登板。おいおいフラットな道じゃなかったのかと思いつつも足が前に出てしまう。前日死ぬほど登板に苦しめられたというのに足は既に復活していて、上り坂を着実に踏みしめていた。これは結構いい感じである。


※2日目もなんか調子よく走れてるな。

この日はちょっと肌寒くて、雨が降りそうな天候だったためか、セミが全然鳴いてなくて、静かな森の道をたったか走ることができた。まるで秋頃のランニングのような感じで、とても走りやすかった。そのため全然疲れなくて途中ちょっと休憩したものの、基本的には走り続けることができた。
しばらくして箱根神社に来た。箱根神社は湖畔の鳥居や元箱根の大鳥居なんかは見ていたけど、実際神社に行くのは初めてだったので、少し参拝することにした。杉の巨木が立ち並ぶ中に佇む朱色の神社が何やら荘厳にさえ感じた。

 
※(左)箱根神社の参道。(右)意外にも煌びやかな感じの神社。

箱根神社を後にすると、すぐに飲食店やお土産屋が見えてくる。元箱根の街に入った。昨日どろどろになって到着した場所である。前日の偉業に改めて感動しつつ走り続ける。目指すのは箱根町である。ここは箱根駅伝のゴール地点。小田原でタスキを受けたランナーがしゅんすけが走った地獄の登板を物凄い勢いで駆け上り、この場所でフィニッシュするのである。ぜひここで箱根駅伝のランナーのような映像を撮りたいなーと思って、この場所で何回かリハーサルして撮影しちゃった。
ここでも感じたけど、よく走ってきたなー。芦ノ湖を縦断しちゃったよ。
この後は西側の湖畔をトレイルランの予定だったけど、天気が悪くなりそうだったので、一旦元箱根に戻って、そこで終了ということになった。ランニング合宿もここで終了というわけである。

 
※(左)箱根名物・杉並木。(右)箱根駅伝の標識があった。

1日目で30キロ、2日目で12キロくらい走ったので、2日間でフルマラソンと同じ距離を走ったことになる。ホントよく走ったものである。何度も思うけど、ホント自分にビックリである。欽ちゃんの言うことはホントだったね。
体型はあまり変わってない感じだけど、走力は確実に向上したハズである。この日の頑張りがいつか自分のためになっているといいな。特にマラソンでもっとも精神的に過酷な30キロ過ぎ付近で、この日のことを思い出すといいかもしれない。または正月の箱根駅伝を見た時とかね。それが楽しみである。