こてつ号と行く旅〜東京シティサイクリング・38キロの旅。

秋の空の変わりやすい天候のせいで、晴れるのか雨なのか不安だった日曜だったけど、幸い晴れてくれた。
東京の街を自転車で周る東京サイクリングのイベントに参加してきた。

初めての電車を使った輪行で、新宿を目指す。ところが、地下鉄の駅で思いのほか自転車のバラしに時間がかかってしまう。秋とは言え、30度近くの気温の中自転車をバラして、輪行体制を整えるのはかなりしんどい。滴るほど汗をかいて何とか輪行バッグにまとめた。そして、重さ10キロ程度とは言え、精密機械が露出している自転車を持って気をつけながら電車を乗り継ぐのはこれも大変。幸い電車がかなり空いていたので、電車での移動は結構楽だったけどね。
新宿駅で自転車を組み立てる。持ってきた着替えの荷物をコインロッカーに入れて、自転車を組み立てて、集合場所の東京都庁を目指す。新宿駅の地下通路を自転車を引いて歩いていったんだけど、どうもこの地下通路は自転車侵入禁止のようで、警備員に注意されてしまった。
集合場所の都庁前の広場には、人と自転車で溢れていた。この人たちは一体どうやってここまで来たのだろう?
ランニングのレースには何回か出場していて、それこそ二千人、三千人は当たり前なレースを見てきたから、今回のイベント参加者が1200人と聞いて、さほど規模の大きさを感じなかったけど、こうして見渡すとホントいろんな人が集まっているのを感じる。やはりこれも大きなイベントなのだ。

参加しているランニングクラブでつい最近自転車を始めたばかりの女性がいて、購入したばかりの自転車を持って参加していた。この人、ランニングの記録はスゴくて、レースではいつも上位に食い込むのだけど、果たして自転車ではどうか?
スタートまで間があったので、飲み物を求めて会場をプラプラしてみると、参加者の持ってきた自転車が実に様々なのを見る。ピナレロやコルナゴやデローザなんて、しゅんすけには高価過ぎて手が届かない自転車もいれば、ママチャリで参加している人もいた。レース開始後の道中にも、こうしていろんな自転車を見ているのが楽しかったな。「お、この人、こんな自転車持ってるよ」みたいな。

朝早くてバタバタしてたから、飲み物を何も用意してこなかった。
集合場所に自動販売機とかあるかと思ってたら、都庁周辺のオフィス街の路上には、自動販売機なんかひとつもなくて(街の美化のためか?)、スタート後も自転車を楽しむというよりは、自販機を探すことの方が優先だった。

※スタート前の参加者の様子。かなりの数の参加者である。

今回のイベントは、別にレースというわけじゃなくて、あくまでサイクリングであり、早さを競うのではなく、自転車で東京の街を走ることで、東京を再発見してもらうという意味があるんだそうで、だから東京マラソンのような交通規制は一切ない。クルマを避けつつ車道の脇を交通ルールを守って走行する。だから、信号も守らにゃイカンわけで、これがとてもうざったい。信号の多い街だから、一斉スタートすると数十メートル先の信号で大渋滞になっちゃうことを考慮して、スタートも少数分割スタート。最初の数十人がスタートしてから30分近く待たされて、やっとしゅんすけもスタートすることができた。でも、やはり信号でストップしてしまい、しかもたくさんの人が滞留するので、全然爽快感がない。長い行列の中で、思うように追い越せないイライラを感じながら、多少参加費が高くなってもいいから交通規制して欲しかったと思った。ま、東京マラソンの3万人の参加者が1万円払って東京中の車両を進入禁止にするのに比べれば、1200人の参加規模では如何ともしがたいのかもしれないけどね。

こうして自転車交通渋滞の中、やっとそれなりの速度が出せるようになったのが、スタートの新宿から明治神宮の脇を抜けて原宿から表参道を経て、さらに青山墓地を越えて、東京ミッドタウンから麻布十番へ向かう頃。既にスタートからここまで既に9キロくらい来ていた。
平日の喧騒が静まった日曜の、しかも朝早い東京の繁華街を走ると、再発見どころか「一体ここはどこ?」ってのが正直な感想。しゅんすけは事務仕事だからほとんど外出することはないのだけど、それでも仕事の関係で出かけたりするわけで、そこで見た東京の風景は、どこもそれなりに人が気ぜわしく行き来する光景なんだけど、それが一変する休日の、駅前のドトールでさえ休業している光景は、見慣れた東京とは全然違う街のようでもあった。
やっとそれなりに見慣れた風景になってきたのが、新橋駅前から日比谷公園を抜けて有楽町の界隈や銀座界隈。ここは休日でも来たことがあるからね。

※新橋駅前の給水所で休憩。

9月半ばとは言え、気温30度を超える陽気に、既に汗だくで、途中の自販機で購入したスポーツドリンクも枯渇する頃、ビル群に縁取られた小さい空が大きく開けてきた。海を目指して走っていく。そこは以前東京マラソンの応援で来たことのある湾岸の埋立地。目の前の大きな橋を登り切ると、青空に高い雲が浮かぶ秋の空が広がる。橋の向こう側を下ってくるのは気持ちいい。・・・とは言え、日差しを遮るものが一切無い埋立地は、風を遮るものも当然ないわけで、向かい風に結構苦労したかな。休日だからほとんど客がいないだろうコンビニには参加者が溢れ、飲み物コーナーのスポーツドリンクは既に品薄状態、しゅんすけもスポーツドリンクを購入して、から揚げなぞ買ってパワー注入。なんせまだ全行程の半分も来ていないのだ。
埋立地にぽっかり空いた駐車場に給水所があった。
照りつける陽光を直接浴びる広大な駐車場で、熱された灼熱のアスファルトに座り込むと、それでも少し疲労が回復する感じだった。
やっと半分まで来た。

※いや、いい天気だなー。

隅田川河口付近の新興マンション群を抜ける。
河は先週の大雨のせいか、まだ濁っていたんだけど、まさにアーバンリバーサイドな風情一杯の光景は、しゅんすけの持っていた隅田川河口付近の下町チックなイメージとは違っていて、なかなかいい感じでした。こういうトコロに住むのも悪くないなー、でも高そうだなぁ。

日本橋を抜けて東京駅北口(あぁ、来週は仕事の関係でこのビルの法律事務所に来なきゃいけないんだけど、気が重いわ・・・)から皇居のサイクリングロードに入る。なんかやっと自分の知っている東京に戻ってきた感じ。
大会事務局から配布されたロードマップの皇居周辺には「パレスサイクリング」と記載があって、何のことか分からなかったんだけど、皇居周回道路の一部が日曜はサイクリングロードとして開放されているんだそうな。だから、広大な車線に自動車は走ってなくて、自転車が独占して走ることができる。うおー、すっげー気持ちいいわ!・・・ってか、日曜に東京をクルマで走ることって今まであったハズなのに、なぜ知らなかったんだろう。今度また来ようっと。
そんな中、参加者同士が自転車衝突の事故を起こしていた。たぶん、道を間違えたもの同士が衝突しちゃったんだろう。(後で自動車が入れないハズのこの道から救急車が出てくるのを見たから、シャレにならないほどの事故だったんだろうか)サイクリングと言えども自転車はやはり危険な乗り物である。

※皇居前の「パレスサイクリング」・・・見慣れた皇居前の道路にクルマが一台もいない。

しゅんすけが赤坂見附を通る頃、ロードマップを見る。既に35キロ地点、いつのまにかゴールは目の前であった。う〜ん、もう終わっちゃうのか。残念である。
思わず脚に力を思いっきり込めてラストスパートしてゴール!別にレースじゃないんだけどね、テレビで観たツール・ド・フランスのスプリンターのようなゴールを思わず演じてしまったよ。
ゴール周辺には先にゴールした参加者が自転車を横たえて休息していて、しゅんすけも長い旅路を共にしたこてつ号を横たえて、事務局から支給されたバナナをほおばった。
全行程38キロ。
ちょっと疲れたけど、まだ走れそうな感じだった。

ちなみに、さきこのランニングクラブの友達は、いつの間にか先を行っていて、既に1時間くらい前にゴールしていたそうな。ランニングでもスゴいタイムを叩き出すだけのことはあって、さすがである。
しばらくの休息の後、再び自転車にまたがった。帰途に就くには、再度新宿に行かなくてはいけない。
地図を見ながら、新宿を目指し、途中遅い昼飯を食べて、新宿駅に到着。雑踏の中で自転車を降りた。

さて、ここからが大変であった。
着替えなどが入ったバッグを入れた新宿駅構内のコインロッカーの鍵が・・・ない。
朝慌てて準備している間に落としちゃったのか?!
急いで係の人を呼んで開けてもらった。幸い、最初から鍵を掛け忘れてて、既に荷物は盗まれた後などという最悪のストーリーは免れて、鍵のかかったロッカーの中に荷物はあった。
自転車に乗って東京の街を駆け抜ける中で東京の新しい一面を再発見!などという大会趣旨だったけど、うっかりミスで荷物が盗難に遭うなどという犯罪都市東京の今まで忘れていたコワさを再発見するところだったわ。
そして、無事に開いたコインロッカーの前で荷物整理なぞしていたら、駅警備の人に怒られてしまい、人通りのない場所を探して自転車をバラしていたら、別の駅警備の人が来て怒られてしまい、「駅構内は自転車の持ち込みは禁止ですよ」と言うのに「じゃ、どうやって電車に乗ればいいんですか?」と問い詰めたら「そんなこた、あたしゃ知らないよ」などと返されてしまい、呆れてしまった。自転車への理解が全然低いことも再発見してしまった。

自転車への理解と言うと、他の参加者が言っていたのは、交通事情の問題。
しゅんすけもよく思うけど、東京も自転車に対するインフラを整備してくれたら、もっと住み易くなるのではないか。その分車道は狭くなるけど、仕事でクルマを使わないで自転車で移動するって、結構環境にもいいと思うんだけどな。

さて、初めてのイベント参加になったけど、実は既に次回のイベントも決めている。
それが恐ろしい・・・富士山麓周回100キロサイクリングである。
ひゃ、100キロって・・・。しかも、翌日は会社を休めないので、富士山から戻ってこなきゃいけないわけである。果たしてどうなる?がんばれ、こてつ号!
 
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